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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ

くちゅん、ちゅくん。

彼の唾液か、わたしの愛液か。…それらが混じりあったものか。卑猥な音をたっぷり立ててくれながら、彼はそこを愛撫し続けた。とろけそうなほど熱く柔らかい、彼の舌で。

「は…っ…ぁん、んんっ…あぁんっ」

彼からのそれは、いつもされていることなのに。いつもより…気持ちよくて。吐息も零れる声も、いつの間にか、こんなに甘ったるくなってしまってる。

月明かり。和装。そして──拘束。それらが非日常感を駆り立てて。全身の感覚を、いつも以上に鋭敏にしてくれているから。

非日常感。わたしが感じ『させて』あげたかったのに。
結局、感じ『させられて』しまうのか───



「──未結、来て」
「ふ……ぇっ?」

考え半ばで抱き起こされて。もはや羽織っただけの浴衣を引きずりながら、彼の両足を跨った状態で膝立ちにされた。

「ほら、手はこっち」
「、あ…っ」

拘束されたままの手は腕の間に彼の頭を通され、まるで抱きつくような形にされて。


「充分濡らしたつもりだけど…力抜いてね」
「…!」

そのまま、腰を下へと押されれば。
彼の言葉を肯定するそこは、彼を呑み込んだ。

「──あああ……ッ」

彼がわたしを貫いていく。ゆっくり、でも、確かに。
彼がわたしの中で存在を増してゆく度に、身体は内側から震え、嬌声は零れ、表情は快楽で歪んだ。

「…かわいい、未結」

そしてそれは、彼の眼前に全て晒されている。


「んぁっ、あっ……、ふあっ、ああんっ」

入口だけ潤したのは、繋がる瞬間わたしに痛みを与えないため。中を慣らさなかったのは…『彼』の感覚を掻き殺し、自分の感覚を刻み付けるため。それが堪らなく…気持ちよくて。

「…ほら、全部挿入ったよ」
「ん、ゃっ…!みみ…っ、やらぁっ…」

耳の筋を舌が這う。総毛立つ感覚が一気に全身を駆け巡り、呂律は回らなくなり、腰は砕けた。

くちゅん、ちゅくん。

耳のすぐ側で響く、聞き覚えのある水音。
彼が下から突き上げる度に響く、同じ音。

恥ずかしさに耳を塞ぎたくても…逃れたくても、叶わない。彼の首に回された両手は、まるで彼に縛り付けられてしまったように、動かない。

「れ…っ、いやあぁ…っ」
「塗り潰してあげるって言ったよね、未結ちゃん」


ああ…そうか。
拘束はこのためのものだったんだ…
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