この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
何が起きたかわからなかった。
次の瞬間には、わたしの身体は敷布団の上。
視界の先には彼と…その背後に広がる天井。
「れ…?…ぇ?えっ?!」
「結構です。」
降ってきた冷淡な声で、ようやく自分が押し倒し『返された』ことに気が付いた。
──な、なんで?なんで??
今の今までわたしが馬乗りになっていたのに。
そして…彼の両手を縛り、拘束した筈なのに。
わたしを乗せたまま、腹筋だけで起き上がったのか…!
「っあ…」
万歳の格好をさせられ、再び一纏めにされてしまった両手は。
わたしが拘束したはずの、彼の両手で握りしめられて──拘束し『返された』。
「──ぅ!やっ…、んあぁっ!あぁんッ!!」
混乱真っ只中のわたしに構うことなく、再開した律動。
さっきまでの、甘ったるくて、とろけるような動きじゃない。彼の望むまま…思うがままの動き。
内壁に自分の感覚を刻み付け、いっぱいにしながら。
一番奥の深みにまで届かせるそれは、『彼』だけでなく、わたしの全てを、彼が、『塗り潰す』ための動き。
──塗り潰してあげます。自らが口にした台詞が頭を過ぎる。──やっと理解した。気に障ったんだ…。
「…め…なさ…っ、ごめんなさ……んんっ…」
嗚咽混じりの二度目の詫言は、キスで噛み殺されて。
──そう、彼はあくまでも喰らう側。わたしが『してあげられる』ことなんて、存在しなかったのかもしれない─…
「…!」
諦めと…圧倒的な快楽に、翻弄されて。
彼が果てた頃、わたしの意識は落ちた。
───────────☙
「おい流星これ解いて」
「お前どのツラ下げて言ってんだよヘタ麗」
夢と現の狭間、耳に届いたふたつの声。
『彼』も戻ってきたんだ…。…どうしよう。絶対喧嘩になる。なんて弁解しよう…
気は逸るのに、身体は鉛のように重く動かない。
「縛られたの取れねぇんだもん。未結寝ちゃうし」
「いーけど、解いた後の身の安全保証しねーよ」
「…流星俺、未結と居ると本当にやばいよ…」
「聞いてる?」
会話の内容は聞き取れないけど、空気は険悪ではなさそうだ…それを感じ取ってから、睡魔という名の…現実逃避の波に乗った。
「俺言いそうだったもん…"して。"って」
「は?──あ、解けた」
彼の葛藤も、響いた鈍い音も知らず、朝まで。