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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ

何が起きたかわからなかった。


次の瞬間には、わたしの身体は敷布団の上。
視界の先には彼と…その背後に広がる天井。


「れ…?…ぇ?えっ?!」
「結構です。」


降ってきた冷淡な声で、ようやく自分が押し倒し『返された』ことに気が付いた。


──な、なんで?なんで??

今の今までわたしが馬乗りになっていたのに。
そして…彼の両手を縛り、拘束した筈なのに。

わたしを乗せたまま、腹筋だけで起き上がったのか…!


「っあ…」

万歳の格好をさせられ、再び一纏めにされてしまった両手は。
わたしが拘束したはずの、彼の両手で握りしめられて──拘束し『返された』。


「──ぅ!やっ…、んあぁっ!あぁんッ!!」

混乱真っ只中のわたしに構うことなく、再開した律動。
さっきまでの、甘ったるくて、とろけるような動きじゃない。彼の望むまま…思うがままの動き。

内壁に自分の感覚を刻み付け、いっぱいにしながら。
一番奥の深みにまで届かせるそれは、『彼』だけでなく、わたしの全てを、彼が、『塗り潰す』ための動き。

──塗り潰してあげます。自らが口にした台詞が頭を過ぎる。──やっと理解した。気に障ったんだ…。


「…め…なさ…っ、ごめんなさ……んんっ…」

嗚咽混じりの二度目の詫言は、キスで噛み殺されて。
──そう、彼はあくまでも喰らう側。わたしが『してあげられる』ことなんて、存在しなかったのかもしれない─…

「…!」

諦めと…圧倒的な快楽に、翻弄されて。
彼が果てた頃、わたしの意識は落ちた。

───────────☙

「おい流星これ解いて」
「お前どのツラ下げて言ってんだよヘタ麗」


夢と現の狭間、耳に届いたふたつの声。
『彼』も戻ってきたんだ…。…どうしよう。絶対喧嘩になる。なんて弁解しよう…

気は逸るのに、身体は鉛のように重く動かない。

「縛られたの取れねぇんだもん。未結寝ちゃうし」
「いーけど、解いた後の身の安全保証しねーよ」
「…流星俺、未結と居ると本当にやばいよ…」
「聞いてる?」

会話の内容は聞き取れないけど、空気は険悪ではなさそうだ…それを感じ取ってから、睡魔という名の…現実逃避の波に乗った。

「俺言いそうだったもん…"して。"って」
「は?──あ、解けた」

彼の葛藤も、響いた鈍い音も知らず、朝まで。
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