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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
「俺ら超ラッキーだったなー、未結」
翌日。
運転席の流星さまは、ハンドルを操作しながら笑った。
何の話かと言うと、早朝のこと。
この方に起こされ窓辺まで連れて行かれ、寝ぼけ眼を向けた先には…一面の雲海が広がっていた。
まさか拝めるとは思っていなかった光景!その荘厳さに、ただただ圧倒されたのだった。
「どーだった?ナマで見れて」
「、はいっ!すごく…っ あの…き、きれい、でしたっ!」
「なー。やっぱ語彙力吹っ飛ぶよな」
笑顔の彼は、そのまま目線をルームミラーに向け、後部座席へ声をかけた。…愉しそうに。
「お前も超ラッキーな、麗」
そこには、座席に…長い御御足を窮屈そうに折り曲げて寝そべり、憮然とした表情でスマホを構う麗さまの姿。
「あの温泉、打ち身に効くってよ」
「…流星うるせぇ。黙れ」
視線はスマホのまま、刺々しく返してきた彼の左頬には…微かに残る殴打の痕。その理由は…言わずもがな。
結果的に拒みきれず堕ちた…ので、わたしも同罪なんだけれども。お咎めらしいお咎めはなく、唯一『帰りの運転権を流星さまに譲る』に留まった。
「俺ね、未結のそーゆー鬼畜なとこも結構好きなんだわ」
そんな言葉と、頭をわしわし撫でられて、おしまい。