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BeLoved.【蜜月記】
第8章 流麗荒亡 1
「何か言った?」
勇気を振り絞ったわたしの問いは、しれっと流された。
「〰〰からっ、ぉしご…っと、わたし…、ぁっ…」
「ごめんね、ちょっと何言ってるかわからない」
その上でこのしらじらしい返し。…臍を噛んだ。
言葉を紡げなくなったのは彼のせいなのに。
「…っ!やらぁ…っ、らめ…ぇ…っ」
こんなふうに、呂律が回らなくなったのだって。
愛液と唾液と舌先と指先でぐちゃぐちゃにとろかされた秘部に…彼そのものが、挿入り込んだから。
「れ…、いぁっ、や……っ───!」
「…!挿入れただけでイッちゃったの?」
反射的に閉じてしまった瞳の向こう側で。わたしの表情と…避妊具越しでも自分自身から伝わる感触から悟ったか。微かに驚きを滲ませた呟きがし…侵入も止まった。
…彼の言葉通りだった。敏感を通り越して、過敏になっていたせいかな…。だめだ、震えが止まらな…
「かわいい…未結」
「…っひ?!ぃま…っ、らめ…っ、動かな…っ」
彼の静寂は束の間。動きと声は、すぐに悦びと興奮を纏ったものに姿を変え再開し、わたしを優しく追い詰めていく。
こちらの戸惑いなど意に介さない、強引な彼、曰く。
「未結が煽ったんだよ」
──────❧
───さて、今の時刻は…7時。朝 の、7時だ。
非遮光のカーテンから、さんさんと降り注ぐ陽の光の中。わたしの部屋の…ベッドの中に、ふたり。
流星さまは出張のため一昨日から不在。おうちにはわたしと麗さまのふたりきり。…いや、本当はこの方もお仕事に出掛けるはずだったのだけれど。
麗さまがわたしの部屋に顔を出したのが、6時前。
とっくに起床し、身支度を整えているだろうわたしに、これから出掛ける事になったから朝食はいらない…と伝えるだけのはずだった(昨夜は不在とはいえ『彼』の日。麗さまとわたしはそれぞれ自室で休んでいた)。
その時彼が見たものは、布団を蹴落とし、ベッドのど真ん中で腹丸出しで大の字になり、目と口が半開きの間抜け面で爆睡しているわたし…だったらしい。
目覚まし時計は…寝ている間に電池が切れていた。
…ありえないでしょ…。そして更にありえないのは…この醜態が、彼の雄を引きずり出したこと。
絵本のなかのお姫様みたく、キスで目覚める日が来るとは思わなかった。