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BeLoved.【蜜月記】
第8章 流麗荒亡 1
「5分経ったよ」
やさしく、ゆっくり……執拗に続く背中へのキスと愛撫。
仕舞いには歯まで立てられて。だけどその痛みすらも…気持ちよくて。もう、わからなくなって…。
そんなわたしを一気に覚醒させたのは…この宣告だった。
「っ、え…」
「休んだよね」
「…え?!う…うそ、うそ、うそっ… あ…ッ」
全く休んでなんてないのに。容赦ない言葉とともに、横向きだった身体は俯せにされて。
背中への攻撃(…と言いたくもなる…)のせいで。彼の指先が触れたわたしのその場所は、もう…泣いているみたいに熱く、ぐちゃぐちゃだった。
「───……っ」
そしてそこは、すんなりと彼を受け入れる。
背後から包み込むように覆い被さった彼が、微かに漏らした吐息を聞き留めながら。わたしは。
もう、まともに声も出せなくて。口はただ酸素を貪るためにパクパクと動き、だらしなく涎を零すだけ。
視界を涙で滲ませながら、再開された律動に…彼に。されるがまま身を委ねるしかなかった。
「ねえ」
そんな最中。かけられた静かな声と、そっと伸びてきた手と、顎を包み込むようにやさしく触れた指先は。
また違う角度から、わたしの中に入り込んだ。
「未結は仕事と俺と、どっちが大事?」
上向かされた先には、小首を傾げるようにしてこちらを覗き込んだ彼。『仕事と私、どっちが大事』──まさか、問い返されるなんて。
仕事とこの人。どっちが大事?
そんなこと考えたこともなかった。
お金を頂いている以上『仕事』には『責任』が伴う。
だから蔑ろにしてはいけないし、そもそもわたしはこの…家政婦業が。『仕事』が大好きだ。
でもこの人のことだって…大好きで。
どっちが大事?どっちが?そんなの…
「ほら。聞かれても困るでしょ」
押し黙ってしまったわたしの心中を見透かすように、彼は畳みかけてくる。「だから」と。
「今こうしてるのが答えじゃない?未結ちゃん」
「ぁ…、んぅッ…」
唯一自由だった口も、彼のそれと重ねられ奪われて。
甘く柔らかい舌に絡め取られてしまったら……最後。
「んっ…、ふ、ぅ… …んんんッ…」
彼の強引さ。やさしさ。熱。理性。最奥の疼き。
『仕事と私、どっちが大事?』彼とわたしの答え。
みんなみんなドロドロに溶けて混ざり合って…堕ちていった。やがて、意識さえも。