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第4章 嫉妬
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そんなある日。
久しぶりに嫌な男が訪ねてきた。
絢音を買い取った女衒の男、沼田である。

丁度昼時で辰と2人で昼食を食べていたところだった為、辰は絢音にドアを開けるように命じた。

絢音がドアを開けると沼田は絢音を見てニヤついた。

「ほお、ちゃんと面倒をみて貰ってるんだな、前より太って器量がよくなったんじゃないか」

沼田は絢音の体を舐めるように眺めて値踏みする。

「絢音もういい、こっちに来い、沼田、用件はなんだ、女でも連れてきたのか?」

辰は遠目に沼田の下卑た面を拝んだ。
すぐさま絢音を呼び戻し、苛立つように聞いた。

「へい、色々と忙しくしておりやしたもんで、こちらにくる機会がなくて申し訳ねぇ、旦那にもなかなかご挨拶できませんで……失礼しやした、今日は前回申し上げた通り、約束のものを連れてめぇりやした」

田沼は約束通り、生娘を連れてきていた。
娘を自分の前に立たせると、辰は興味を示して田沼の方を見た。
絢音も同じように娘を見たが、安物の着物を着た田舎臭い少女は、自分より年上に見える。
沼田は通常、絢音のような即戦力にならない子供は買い取らない。
だからこの娘は16になったばかりだったが、絢音は気が気じゃなかった。
温泉場で働く女達とは違い、自分と同じように女衒に連れて来られたからだ。

「ほら、旦那に挨拶しろ」

「あ、あの……、菜摘といいます」

娘は怯えていたが、恐る恐る菜摘と名乗った。

「置いていけ、後はいつも通りうっぱらうが文句はねぇな?」

辰は菜摘を気に入ったらしく、菜摘の前で酷な事を言ったが、絢音はそれを聞いてホッとしていた。









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