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第1章 温泉旅行

「兄貴ぃ、誰もいませんぜ」

「おお、貸切だな」

「背中流します」

岩陰からこっそり覗き見たら、洗い場に男が3人いた。
しかし、真由はそのうちのひとりを見て血の気がひいた。
その男は別の男に背中を洗って貰っているが、兄貴と呼ばれていて、骨太な体にはびっしりと刺青が入っている。
他の2人は刺青はなかったが、その筋の人間らしい顔つきをしていた。

真由は怖くて出るに出られなくなった。
岩陰に身を潜めてじっとしていると、やがて男らは湯に浸かってきたが、真由は頭がのぼせてきた。
湯から出たかったが、今出たら男らに見つかってしまう。
迷っている間にも体はどんどん熱くなってくる。
暑さに耐えかねて少しだけ移動した。