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女喰い
第7章 助け舟
「なんだ、拙者は用済みとでもいいたいのか? 」
江衛門は不満げに聞き返す。
「いや……、いいんじゃねぇか、な、お美代ちゃん、江衛門が居ても構わねぇよな? 」
しかし、弥八郎はお美代に聞いた。
「あ、あの……、は、はい……、わたし……働き口を探さなきゃいけないんですが、いてくれると助かります」
不意に聞かれ、お美代は慌てて答えた。
身寄りなど無いお美代にとって、五作を失った今はひとりぼっちだ。
江衛門がいてくれると何かと助かる……というのもあるが、ひとりより2人分の食事を作る方が張合いが持てる。
「助かる? って事はー、江衛門、お前……手伝いをしてるのか? 」
弥八郎はお美代の話を聞いて首を傾げ、江衛門に問いかけた。
「お主がやれと言ったのではないか、だから俺は……言われたように手伝いをしているのだ」
江衛門は弥八郎が驚いた顔をするのを見て、ムッとして言い返した。
「本当にしてるのか、へえー、意外だな、偉いじゃねぇか」
確かに、手伝うように……とは言ったが、弥八郎は武士である江衛門が、本当に手伝いをやるとは思ってなかった。
江衛門の意外な一面に感心していた。
「ああ、武士に二言はない、お美代ちゃんはもうじき13になると聞いたが、そんな年で相当な苦労をしてきた、俺のような者でも何かしら役に立つなら……力になる」
江衛門は生真面目にお美代の手助けをしたいと思っている。
「そりゃいい事だ、ま、もうつきっきりじゃなくていいからな、お美代ちゃんは働き口、江衛門は旗本奴として、それぞれにやる事をやって、で、共に暮らせばいい」
弥八郎は居候する事に賛成だった。
というよりも、温かく見守ってやりたい気持ちになっていた。
この先、2人が男女の仲になる事を見据えてはいたが、決していかがわしい目で見ているわけではない。
五作には悪いとは思ったが、お美代は彦兵衛のせいで酷い目にあった。
息子として嫌でも責任を感じる。
だからこそ、幸せになって欲しい。
江衛門は旗本奴だが、とても信頼出来る人間だ。
弥八郎は2人が僅かずつ近づいていくのを、それとなく見守っていきたいと……こっそりそう思っていた。
江衛門は不満げに聞き返す。
「いや……、いいんじゃねぇか、な、お美代ちゃん、江衛門が居ても構わねぇよな? 」
しかし、弥八郎はお美代に聞いた。
「あ、あの……、は、はい……、わたし……働き口を探さなきゃいけないんですが、いてくれると助かります」
不意に聞かれ、お美代は慌てて答えた。
身寄りなど無いお美代にとって、五作を失った今はひとりぼっちだ。
江衛門がいてくれると何かと助かる……というのもあるが、ひとりより2人分の食事を作る方が張合いが持てる。
「助かる? って事はー、江衛門、お前……手伝いをしてるのか? 」
弥八郎はお美代の話を聞いて首を傾げ、江衛門に問いかけた。
「お主がやれと言ったのではないか、だから俺は……言われたように手伝いをしているのだ」
江衛門は弥八郎が驚いた顔をするのを見て、ムッとして言い返した。
「本当にしてるのか、へえー、意外だな、偉いじゃねぇか」
確かに、手伝うように……とは言ったが、弥八郎は武士である江衛門が、本当に手伝いをやるとは思ってなかった。
江衛門の意外な一面に感心していた。
「ああ、武士に二言はない、お美代ちゃんはもうじき13になると聞いたが、そんな年で相当な苦労をしてきた、俺のような者でも何かしら役に立つなら……力になる」
江衛門は生真面目にお美代の手助けをしたいと思っている。
「そりゃいい事だ、ま、もうつきっきりじゃなくていいからな、お美代ちゃんは働き口、江衛門は旗本奴として、それぞれにやる事をやって、で、共に暮らせばいい」
弥八郎は居候する事に賛成だった。
というよりも、温かく見守ってやりたい気持ちになっていた。
この先、2人が男女の仲になる事を見据えてはいたが、決していかがわしい目で見ているわけではない。
五作には悪いとは思ったが、お美代は彦兵衛のせいで酷い目にあった。
息子として嫌でも責任を感じる。
だからこそ、幸せになって欲しい。
江衛門は旗本奴だが、とても信頼出来る人間だ。
弥八郎は2人が僅かずつ近づいていくのを、それとなく見守っていきたいと……こっそりそう思っていた。