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女喰い
第4章 変化
その様子を、五作が陰からこっそり覗き見ていた。
五作は母屋へ向かうお菊の後ろ姿を眺め、蔵の中でなにが起きたのかを察した。
お菊の事を可哀想に思ったが、五作にはどうする事も出来ない。
他の下男に呼ばれ、船着場へ行って人足達と一緒に荷降ろしをした。
五作は12とは思えぬ肉体をしているので、小柄な年長者よりも重い荷物を運ぶ。
しかも素直に言う事を聞くので、人足達は五作を上手く利用して、自分達は楽をしていた。
人足に限らず、五作は悪意を抱く事がない為、いいように使われる事が多々あった。
字を書いたり計算をする事は出来ないが、特に力仕事では大いに役立っていた。
しかし、彦兵衛は給金を上げる事はなく、いい拾い物をしたと思っている。
五作は通いで屋敷にやって来ているし、無駄飯を食わせる必要もないからだ。
五作は彦兵衛が使用人に手を出しているのを見ても、彦兵衛を責める気持ちはなかった。
一途に、再びお美代と2人きりで会える日を楽しみにしていた。