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女喰い
第6章 弥八郎
弥八郎は落胆した。
無理だとわかっていても、万に1つでも回復へ向かっていれば……。
そう期待していたが、期待はもろくも崩れ去った。

弥八郎は2人を見ながら、母の事を思って沈んだ気持ちになっていたが、手紙を受け取らねばならない。
入り口へ回り込み、わざと咳払いをして中に入った。

「あ……、弥八郎さん」

お美代はハッとして五作から離れると、冷や汗をかきながら弥八郎を見た。

「ああ、お美代、それに五作、お前の事は手代に聞いたよ、まだ若いのに随分力があるんだな」

弥八郎は笑顔で話しかけ、五作の事を褒めた。

「はい、おら、力しかありません」

五作は自分の事をそのまま言った。
弥八郎の事は噂で聞いていたので、彦兵衛の息子だという事は理解している。

「ははっ、まっすぐな人柄をしているんだな、どおりでお美代ちゃんが惚れる筈だ」

弥八郎は五作の話を手代から聞いていたが、手代は『生まれつき少々知恵が足らぬが、素直な性格でよく働く』と言っていた。
実際に五作に会ってみて好感を持ち、ちょっとした遊び心のつもりで冷やかした。

「あの……その事なんですが、旦那様には」

しかし、お美代は心配になった。
弥八郎を信じてはいるが、もしもという事がある。

「ああ、心配するな、誰にも言わねぇ」

弥八郎は真面目な顔で約束する。







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