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不自由への招待
第1章
「どうして…」
僕の面喰らった表情を一瞥した彼は
ただ一言「わかるよ」とだけ呟いた。
僕が生まれた日。男児を望んでいた
両親…特に父はかなり落胆したそうだ。
それから僕は「男の子」として扱われた。
僕の下に妹が4人生まれても、13歳下に
やっと弟が生まれてからも、変わらずに。
だけど本当は妹たちや周りの娘たちのように
スカートを履きたかった。髪を結いたかった
僕に与えられるのは男物ばかり
させられるのは男の仕事ばかり
『こんなの自分じゃない』ずっと苦しかった。
目の前の、初対面のこの人はそれを見抜いた。
そうこうしている間も僕は丸裸にされていく。
──文字通り、身も心も。
肌を滑る柔らかな熱の正体は、舌。
冷静な声とは真逆に、とても熱い。
それは肌を遡り、胸の…今まで必死に
隠し続けた、膨らみの頂点に触れた。
「…ん、ぁ…」
身体中が痺れていく。こんなの知らない。
身体の奥底から、恐怖とは違う、震え…
ゾクゾクとしたものが込み上げてくる…
「君は求められてここに来たんだよ」
「!」
求められた。その一言は刺さった。
『ごめんね、エマ』
──そうだ、思い出した。あの別れの時。
両親は泣いていたけど…笑っていたんだ。
『男じゃない』僕は必要なかった。
『男じゃない』から売り飛ばせた。
『男じゃない』僕は必要ないから。
「──あ!」
いつの間にか晒け出されていた、僕の─
『女』の部分。
胸以上に隠して…殺し続けた部分。
拓かれて白日の下に晒されている。
「や…っ」
あろうことか、肌を滑り下りた熱は…
そこに触れた。僕の『女』の部分に。
「…、あ…っ、…は…っ」
怖いのに。恥ずかしいのに。
何故か抵抗できなかった。──いや
『しなかった』が正解かもしれない。
「……っ」
きもちよかったから。
『そこ』に自分で触れて気持ちがいいことは
以前から知っていた。それに『一人遊び』は
唯一本当の自分…『女』に戻れる時間だった。
「ぁ…、あんっ…」
まるでそれすらも見抜いたかのように
舌は僕の『芯』に僕の蜜を塗り付ける。
「──いいかい、エマ」
静かな声は痺れで霞む脳内に直接響いた。
君のこれからは“不自由“に満ちてる
だけどそれは、“幸福“でもあるんだ
「すぐに判るよ。──ようこそ、エマ」