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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第19章 疼き④
「……すまない。お前が恥ずかしがる顔が堪らなくて、意地の悪い問いをしてしまった」

「ひ、ひどいです、魔王様! 私……恥ずかしくて恥ずかしくて……あっ、わ、私はあなた様になんてことを! おっ、お許しください!」

 詳細を問うて来たのが魔王の意地悪だったと知り、フィーネは涙を滲ませながら反射的に後ろを振り返る。しかしすぐさま主を非難する発言をしてしまったと気づき、ハッと口元を押さえると慌てて謝罪をした。

 頭を下げるフィーネの身体に緊張が走り、硬く縮む。
 
 道具である自分に、主を非難する資格はない。
 ただ言うことを聞くだけでいい。

 罰されても仕方のない行為だと、恐怖で身体が小刻みに震え出した。

 しかし魔王からかけられたのは、非難でも怒声でもない、静かな問いかけだった。

「何を謝る必要がある?」

「え? あ、あなた様を非難するようなことを、口にしましたから……」

「それがどうした? 思ったことを口にして、なにがいけない?」

「でも私は……」

「……ただの道具が口答えなどしてはいけない、とでも言いたいのか?」
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