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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第8章 魔王⑧
 痛みと抗えぬ快楽の狭間の中で、自身のナカに熱い精が放たれたのを感じた。

(そんな……ナカに……)

 純潔を奪われただけでなく、ナカまで穢された。
 聖女としての使命も果たせず、全ての清らかさを失った。

 フィーネの瞳に涙が溢れる。目尻から零れた雫が、耳を通ってシーツを濡らす。

 その時、目尻に太い指が触れた。
 魔王がフィーネの涙を拭ったのだ。

 敵から与えられるにしてはあまりにも優しい手つきだと思いながら、フィーネは焦点の合わない虚ろな表情で尋ねる。

「わたしは……どうなるのでしょうか……」

 魔王の目的が、勇者の力を削ぐことであれば、見事達成されている。

 ならば残った自分を、目の前の男はどうするのか?

(もしこのまま捨て置かれるなら……死のう。勇者様の献上品としての役目を果たせなかった私に、相応しい最期だわ……)

 魔王に穢された聖女として嘲笑われ、蔑まれ、最悪用済みだと神官たちに殺されるかもしれない。
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