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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第8章 魔王⑧
 そんな醜態を晒すなら、いっそのこと自分の手で命を終わらせようと考えていた。

(今の私に、存在価値はないわ)

 聖地はフィーネの存在を疎んじていた。
 過去、聖地で自身がどういう扱いを受けて来たかを思い出し、小さく笑う。

 彼女は幼い頃に両親を亡くし、神殿に引き取られた。
 しかし幼いフィーネから得体のしれない力を感じていた神官たちは、彼女を気味悪く思い、必要最低限の関わりしか持とうとしなかった。

 女神の技でもなく、魔族が使う邪法でもない、得体のしれない力を持つ娘。
 ピアチェの神託後、聖女として神官と同じ修行を受けたのにも関わらず、女神の技を習得できなかった半端者。

 それが、聖地でフィーネに下された評価だった。
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