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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第12章 忠誠②
「お気遣いは無用です。ましてや乱暴にだったなど……。この身は、主に力と癒しを与えるために存在しております。その行為に……罪悪感など不要です」

 魔王の片眉が動いた。横顔がこちらを向き、彼女を見つめる瞳に鋭さが増す。

 しかしフィーネは魔王の変化に気づかなかった。
 ただ、自分の言葉を黙って聞いているのだと思い、胸の上で重ねた両手を握ると、瞳を伏せて言葉を続ける。

「ですから、私をどのように扱って頂いても構いません。さらなる力を欲するなら、戦いで傷ついたのなら……躊躇わずに私をお抱き下さい」

 息継ぎすることなく言葉を吐き出すと、こちらを凝視する翠色の瞳を見つめたのち、フィーネは魔王の前に跪き、胸に手を当て、頭を深く下げた。

「この身は……魔王様、あなたのものです」

 フィーネの心は、魔王に従う、と返答した時から決まっていた。
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