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Q 強制受精で生まれる私
第12章 4.9度目
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「さて。何から話しましょうか…あまりごちゃごちゃ言うとすぐに癇癪を起こしますから、まずはご自身の考えをお聞かせ願えませんか? 浜園さんはどうしてあんなことになったと思いますか?」
先生と対面することなんて今までも何度もあったのに、今の私は先生と目を合わせることができずにいる。目の前の先生は顔こそいつもの爽やかな笑顔だけど、その声は明らかに怒りが含まれている。それも相当な。何かひとつ間違いを起こせば、その気味悪い笑顔さえも激昂に変わるのは火を見るより明らかだ。
「さ、さぁ? 酷い風邪でも、ひいてしまったんじゃないでしょうか?」
「はは。風邪で生死をさ迷うなんて、それはさぞかし人類にとって危険なウィルスなんでしょうね。それか死んでしまう程に免疫力が落ちているかのどちらかでしょう。いずれにせよICUに隔離しなければなりませんね。事実そうだったんですが。」
先生の言葉の節々には、これでもかと毒が含まれている。てっきり妊娠がどうこうの話になるかと身構えていたのに、予想外の詰問に身が縮こまる。私が如何に愚かしいことをしたのか懺悔させようとする先生の叱責に、私はまた違った恐怖心を芽生えさせる。
「真面目な話をしているんですよ? 本当に分からないんですか?」
「ご、ごめん、なさい。何も、分かりません…」
怒りの頂点一歩手前なのか、とうとう特徴的な笑顔まで顔から消えてしまう。残された大きく開かれた眼から、私を鋭く射抜く眼光が発せられ、逃げられないように五肢に凍てつく杭を打ち込む。その身を切る冷たさに、私は悪寒でかたかたと震わすことしかできない。
こんなに怖い人だったなんて知らなかった。
あんなに交わったのに、私はまだこの人のことを何も知らないんだ…
「さて。何から話しましょうか…あまりごちゃごちゃ言うとすぐに癇癪を起こしますから、まずはご自身の考えをお聞かせ願えませんか? 浜園さんはどうしてあんなことになったと思いますか?」
先生と対面することなんて今までも何度もあったのに、今の私は先生と目を合わせることができずにいる。目の前の先生は顔こそいつもの爽やかな笑顔だけど、その声は明らかに怒りが含まれている。それも相当な。何かひとつ間違いを起こせば、その気味悪い笑顔さえも激昂に変わるのは火を見るより明らかだ。
「さ、さぁ? 酷い風邪でも、ひいてしまったんじゃないでしょうか?」
「はは。風邪で生死をさ迷うなんて、それはさぞかし人類にとって危険なウィルスなんでしょうね。それか死んでしまう程に免疫力が落ちているかのどちらかでしょう。いずれにせよICUに隔離しなければなりませんね。事実そうだったんですが。」
先生の言葉の節々には、これでもかと毒が含まれている。てっきり妊娠がどうこうの話になるかと身構えていたのに、予想外の詰問に身が縮こまる。私が如何に愚かしいことをしたのか懺悔させようとする先生の叱責に、私はまた違った恐怖心を芽生えさせる。
「真面目な話をしているんですよ? 本当に分からないんですか?」
「ご、ごめん、なさい。何も、分かりません…」
怒りの頂点一歩手前なのか、とうとう特徴的な笑顔まで顔から消えてしまう。残された大きく開かれた眼から、私を鋭く射抜く眼光が発せられ、逃げられないように五肢に凍てつく杭を打ち込む。その身を切る冷たさに、私は悪寒でかたかたと震わすことしかできない。
こんなに怖い人だったなんて知らなかった。
あんなに交わったのに、私はまだこの人のことを何も知らないんだ…