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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
「おい。ホテル代出せよ。」

 私は先生から貰った封筒から、福沢諭吉が描かれたお札を一枚男に渡す。明らかにオーバーしている額だったが男は何事もなかったかのように、お釣りを渡すこともなくそれをカプセル状の何かに入れていく。男がエアシューターと呼んでいたそれは、元の場所に戻されスイッチを押されると、文字通り天井へ続く筒の中に吸引されていった。

 面白い機械ですねとかこんなの初めて見た等の会話も一切なく、支払いが済むのを黙々と待ち続ける。エアシューターは中々帰ってくることがなく、沈黙に耐えきれなくなった男が「お前さ。」と呼び掛けてくる。

「…なに?」

「久しぶりに会ったと思ったら随分変わちまったな。前は突けば突くほど喜ぶザーメン好きの変態だったのによ。」

「…は? 何言ってるの?」

「しらをきるのもいい加減にしろよ。セフレに出来んのかと思ったら突然消えやがってよ。何か反応するかと思いきや他人行儀決めやがって。そういう態度が無性に腹が立つんだよ。」

 一瞬何を言ってるのか戸惑うも、すぐに男の言わんとしていることに理解が追い付き、思わずハッとなる。

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