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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
 記憶喪失を起こす程に脳に障害があるであろう私でも、さすがに何度も行き来すればここが夢の世界であること位すぐに分かる。幸せという言葉が果たして妥当なのかは分からないけど、ハードな夢心地を体験した後にこの目の前に広がる夢の景色は悪くない。

 窓から入り込む暖かな陽の光がレースのカーテンにぶつかって散り散りになり、部屋中に広がる蛍光灯の冷たい光と混ざり合う。霧散している光達はどうしてもスポットライトになりたいのか、椅子に座る二人の人物…否、一人と一匹の姿をハッキリと照らし出す。

 一人はこの夢の世界の住民でお馴染みの白線女だった。いい加減見飽きた存在だけど、いつもと違って白線が薄れていて所々にその目やら口等の器官が見え隠れする。苛つく存在から気味が悪い化け物に変貌したその女は、まるで戦争物に出てくる負傷兵そのものだった。

 いや、そうに違いない。
 だって、ここは…

「うん。診断結果は問題無しだね。膣内が少し切れただけみたいだ。ただ傷口からカンジタ炎になるかもしれないから、抗真菌薬は出しておくよ。」

 気色悪い怪人に優しく声をかけるその人物は、紛れもなく私をこれでもかと突いてくれた、先生そのものだった。
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