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第14章 5...? 度目

　ずきずき。
　ちりちり。
　どくどく。
　ばくばく。

　様々な感覚が私の身体を駆け巡る。一々オノマトペにしていたら脳がいくらあっても処理しきれない。それ程に瑞々しい感覚達が次から次へと新たな産声を上げる。

　感覚だけじゃない。床に散らばる小さな紅い水溜まりの中で、キラキラと眩しく光る破片達も新鮮な命の輝きを放っている。前の作られた死の形からは想像もつかない輝かしい姿に思わず息を呑んでしまう。

　正方形に縁取られたベージュの大地が私の目の前で広がっている。こんな広大で美しい大地があったなんてと感嘆し、深呼吸すると思わずむせ込んでしまう。水晶の様に辺りに散らばるガラスの塵でも吸い込んでしまったのか、息を吸っては吐くという行為そのものがとても苦しく辛いものに感じる。胸腔が伸縮を繰り返す度に、体中の所々がずきずきと痛んでは熱を増していく。

　どんなに苦しくても生物として生きている以上、息を止めることはできない。何度も咳き込んでは肺を空気に慣らしていくためにゆっくり、深く呼吸を続けていく。そうやって何度か苦痛に耐えている内に、段々と楽に呼吸できるようになり、破裂しそうな程に重苦しく跳ね回っていた心臓も落ち着きを取り戻すまでに至った。

　ここには生命が溢れている。

　そう思い至れるまでに脳に酸素が回ってくるようになった所で、美味しそうな命の匂いを嗅ぎ付けたのかドタドタとゾンビが私に掛けよってくる。

　小綺麗で五体満足なゾンビは私の姿を見るやいなや、首筋に噛りつかんとばかりに猛スピードで近づいてきて私の上体を抱える。