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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
「…は。あは。あははは…そうね。そうよね。貴方の言う通りね。」

 私は濡れた体も拭かず、服も着ることなく浴室から出る。扉の先には相変わらず新聞に釘付けになっている先生がいた。一瞬こちらを見たけど、まるで腫れ物の様にすぐにつまらなそうな新聞に目線を戻してしまう。失礼な人だと思うけど…そんなこと今はどうでもいい。どうせすぐに慌てて飛んでくる羽目になるのだから、今は許してあげよう。

 ぺたぺたと足音を鳴らしながら、私は先生の元には向かわずに、朝来た道を戻り始める。狭い病院のはずなのに極度の高揚感のせいか、果てしなく長く感じる廊下をひたすら歩き続ける。しんと張り詰めた空気が私の水気溢れる裸体に突き刺さるも、そんなことお構い無しに歩を進める。

 いくら寒かろうとここにいる限り、服もタオルも要らないのだ。だってここは…

 診察室兼寝室に戻った私は辺りを見渡す。いつぞやの女性の検査の時に入った医療器具を保管している部屋が目につき、まるで引力に導かれるかのようにそこに入る。整理が一切できないがさつな性格をしているくせに、一応それなりの職人意識はあるのか、棚という棚に道具が綺麗に整えられている不思議な部屋だと前から思っていた。

 だけど、今の私にこんな部屋を見せてしまうのは非常に良くないと思う。
 だって、こんな綺麗な物を見せられたら、壊してしまいたくなるじゃない。

 立ち去るかのように一歩、二歩後退りするも時すでに遅し。強すぎる引力による反発を受けた私は弾丸の様に部屋に吸い込まれ、棚に思いっきり体を叩きつける。棚はぐらぐらと大きく揺れ、地の支えが無くなると同時に私に向かって傾き始める。


 身を引き裂く雷鳴と共に、大量の空が落ちてくる…

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