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Q 強制受精で生まれる私
第1章 0度目
そう言って目の前の『先生』と名乗る人物は謙遜したが、私はどうしても名前が知りたかった。突然自分の名前も思い出せない状況になって…不安で心臓が破裂しそうで…逃れたくて…何でもいいから私に関わる全てのことをもう一度知りたくてたまらなかったのだ。
私は医者と名乗るならばネームプレートを付けているはずだと思い、胸の辺りをジロジロと見回すが、どこにも見当たらなかった。面と向かって聞くわけのははばかれるけど、私は失礼を承知で問いただした。
「あの…すいません。名札は付けられないんですか?」
先生と名乗る男は、不思議な物を見るように眉をひそめていたが、こちらの意図に気付いたのか、あぁ申し訳ありませんと言い頭を掻いた。
「いつもの癖でして、よく付けるのを忘れてしまうんですよ。うちは事務員さんも雇っていない程小さな病院だから、注意してくれる方もいなくてね…」
えーと、どこにやったかなー。とぼやきつつ、先生は机の引き出しを次々と開けては中を確認する。中身の状態からあまり整理整頓ができるタイプではないのだなと感じた。そうこうしてる内に、あった。と声高らかに言い、奥底に眠っていたであろうネームプレートを掘り起こした。
「お待たせして大変申し訳ありませんでした。以後気をつけます。さて、申し訳ありませんがあまり時間がありませんので、問診に戻らせて頂きます。思い出せる範囲で構いませんので、お答え下さい。」
私は医者と名乗るならばネームプレートを付けているはずだと思い、胸の辺りをジロジロと見回すが、どこにも見当たらなかった。面と向かって聞くわけのははばかれるけど、私は失礼を承知で問いただした。
「あの…すいません。名札は付けられないんですか?」
先生と名乗る男は、不思議な物を見るように眉をひそめていたが、こちらの意図に気付いたのか、あぁ申し訳ありませんと言い頭を掻いた。
「いつもの癖でして、よく付けるのを忘れてしまうんですよ。うちは事務員さんも雇っていない程小さな病院だから、注意してくれる方もいなくてね…」
えーと、どこにやったかなー。とぼやきつつ、先生は机の引き出しを次々と開けては中を確認する。中身の状態からあまり整理整頓ができるタイプではないのだなと感じた。そうこうしてる内に、あった。と声高らかに言い、奥底に眠っていたであろうネームプレートを掘り起こした。
「お待たせして大変申し訳ありませんでした。以後気をつけます。さて、申し訳ありませんがあまり時間がありませんので、問診に戻らせて頂きます。思い出せる範囲で構いませんので、お答え下さい。」