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Q 強制受精で生まれる私
第6章 2.5度目
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「そんな!! 逮捕できないって何故ですか!?」

 見知らぬ街の中を歩き回り、ようやく見つけた交番で私は怒りに震える。当たり前だ。今までのことを全て告白したのに、目の前の警察官はそれでも動かないと言うのだ。

「落ち着いて下さい。別に我々は動かないという訳ではありません。状況があやふや過ぎて、それでは逮捕に至れないというだけです。」

「そんなこと!! 私がどれだけ酷い目に合ったのか知らないくせに!!」

「お気持ちは分かりますが、義務とはいえこの様な被害届では流石に受理できません。」

 憤る私の前に用意された被害届には、私の名前と不明の文字以外何も書かれておらず、空欄が目立つ。住所、年齢、職業等…分からない、思い出せないことが多すぎる。犯人の、先生のことは書けるのに自分のことになると名前以外何も書くことができずにいた。

「お名前、もう一度伺ってもよろしいですか?」

「『はまぞの ほのか』です!! さっき名乗ったじゃないですか!!」

「免許証か何か、自身を証明する物は何もお持ちでないのですね?」

「それも持ってないってさっきから何度もっ!!」

 そうですか、と言って警察の人は頭を掻き乱す。その態度から、厄介者に捕まってしまったという苛立ちが感じられる。どうしてそんなこと聞くの? どうして被害者の私が疑われれなきゃいけないの?
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