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Q 強制受精で生まれる私
第9章 3.5度目
「…このっ、覚えておきなさい。」

「収穫はあったとはいえ昨日の治療は失敗だったようですね。相変わらずどころか余計にヒステリックが悪化していますし、『あれ』は迷信でしたか。これだから民間療法は宛になりませんね。」

 先生は呆れ顔をしながらそうぼやいて、机に置いてあるビニール袋に手を入れる。ごそごそと物色した後に袋に包まれた白い三角状の物と黄金色の缶を取り出す。今までの所業のせいか一瞬危ないものに見えたが何のことはない、それはサンドイッチと缶コーヒーだった。

「物を壊す程のストレスでは何をしても無駄でしょうが、一応再度お聞きします。おひとついかがですか? 空腹が収まれば少しは落ち着くと思いますよ。」

「…いらない。あなたからの貰い物なんて金輪際口にしないわ。心配するふりは止めてちょうだい。私がいくらお腹を空かせていようと関係無いでしょ、あなたはヤれればそれでいいんだから。」

 折角の好意を無下にしても先生はずいずいと胸に押し付けてくる。このままだと胸を揉んでくるに違いないと思った私はすぐに後ろに下がり、そのまま診察台に腰を掛けて身構える。どうせこれも新品に見せかけて、注射針か何かで薬を仕込んでいるに違いない。もうこいつからの貰い物は一切口にはしない。そう心に決めたのだ。私は隙を見せまいと、ゴロゴロと静かに唸るお腹が鳴りださないように必死に押さえつけた。

「また相変わらず痩せ我慢を…いいでしょう。無理に食べて頂かなくても結構です。しかしどんな状態であれ仕事は行って頂きますよ。まだ無銭診察の分が残っていますから。」

「具体的な金額も示さないくせに何言ってるんだか…まぁいいわ。どうせ解放する気は無いんでしょ? 私もあなたを牢屋にぶちこまないと気が済まないし。あなたと会話するより仕事してた方が百倍マシよ。」

 どれだけ悪態を付いても先生はいつもと変わらずにこやかな表情を崩さない。この表情を見る度にこの男は笑顔以外の表情はほとんど持ち合わせていないのだろうかと思う。いつの日かその気色悪い仮面を引き剥がして、苦悶と後悔の素顔に変えてやると心に誓った所で壁にかかっている時計が開院の時刻を知らせた。

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