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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第7章 終幕
 陽色はお人形。

 何度もそう云われてきた。そしてこれからも、多少意味は違えど、そう呼ばれる予定である。

 透き通るような乳白の肌に、細い関節、華奢な手足や首、繊細に整った顔で、濃い紅色のひとみが、呪いのようなお人形。寸分の狂いなく踊る痩せた胴体は、ひと月前からおいしいものをお腹いっぱい食べるようになって、すこしばかり肉が付いてきた。

 陽色は、リオのお人形。

 柔らかな昼下がりの日差しが、レエスを割って入り込んでくる。

 扉が閉まりきったのを確認してから、陽色はすみれ色の毛布を開いて、リオと視線を合わせた。

 ふわり、金の薔薇の花弁が零れる。まるい頬に、形のいい鼻に、柔らかな睫毛をたたえた目蓋に、そうっとくちづけをおとせば、彼女は睨むようにひとみに険を乗せた。まだ明るいよ。

「でも、あとで、あまやかす、云ったよね、」
「云ったよ、云ったけれども、」
「おねがい、」

 リオ。

 わざとらしくたっぷりと息を含ませた声で、そんなことを囁かれれば、途端にからだからちからが抜けてゆく。

 ひと月と少しの間、幾度となく肌を重ねているうちに、名前を呼ばれれば、ほとんど条件反射のように、じわり、粘膜が湿るようになった。唾液をのみこむ。滲んだ視界に、蕩けるような、あまい、微笑みが、うつった。きっとこの子は、己がリオのからだを作り替えたことに、気付いている。

 紅玉が悪戯に瞬いて、やたらと慣れた手つきでリオの服を脱がせてゆく。

 女とは云え丈長いリオのためのそれは、緞帳のように広がって、陽色を彩った。

 ひどく単純に、彼はうつくしい。ひとの目を奪って離さない、不思議な魅力がある。

 おおきなまるまるとしたひとみも、やわらかな頬も、ひとつひとつとってみると、ぬいぐるみのようにあいらしいのに、全体でみると、青年のような、少年のような。危ういうつくしさ。
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