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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第3章 血まみれ道化師と血みどろお人形
「うわ、」
「ほうら、だから云っただろう、芸で生きるとはそういうことなのだよ。たった一度きりの汚名が、それまで築き上げてきたすべてを台無しにする!」
だが安心したまえ、君、陽色。
くるりとからだが反転する。ついと顔をあげると、先程までは見えなかった西園寺の姿が見えた。朗々と、まるで歌っているかのように、いっそ勝ち誇ったかのように、彼女は微笑んで見せた。
「私が君の面倒をみようじゃないか」
君、私のお人形になる?
ぱちり、目があった。
すみれ色のひとみは、やわらかな光をたたえている。こちらも珍しいと云えば珍しい色のひとみであるというのに、おぞましさの欠片もない。
鼓動が跳ね上がる。それがゆるりと細められているのを見て、陽色はようやく、己がこくこくと何度も頷いていることに気づいた。
「子どもが子どもの面倒を見るのですか、理央さま」
墨色の髪をした女のひとが、呆れ果てた調子で、或いは心配げに、くちを挟んだ。
彼女はただひとこと、うるさいね、と応えて、陽色のからだをますますぎゅうと抱きしめた。
「ほうら、だから云っただろう、芸で生きるとはそういうことなのだよ。たった一度きりの汚名が、それまで築き上げてきたすべてを台無しにする!」
だが安心したまえ、君、陽色。
くるりとからだが反転する。ついと顔をあげると、先程までは見えなかった西園寺の姿が見えた。朗々と、まるで歌っているかのように、いっそ勝ち誇ったかのように、彼女は微笑んで見せた。
「私が君の面倒をみようじゃないか」
君、私のお人形になる?
ぱちり、目があった。
すみれ色のひとみは、やわらかな光をたたえている。こちらも珍しいと云えば珍しい色のひとみであるというのに、おぞましさの欠片もない。
鼓動が跳ね上がる。それがゆるりと細められているのを見て、陽色はようやく、己がこくこくと何度も頷いていることに気づいた。
「子どもが子どもの面倒を見るのですか、理央さま」
墨色の髪をした女のひとが、呆れ果てた調子で、或いは心配げに、くちを挟んだ。
彼女はただひとこと、うるさいね、と応えて、陽色のからだをますますぎゅうと抱きしめた。