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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第4章 びやくしょや(なおくんとあかりちゃん)
「うふ、あはは、そう、そうですね! ぜひ協力しましょうとも! ええ、ええ、最高です!」

 神妙な面持ちをした金城の直談判を聞いて、雨宮は椅子から転げ落ちるのではないかと心配になるほどに大笑いした。

 基本的には直接話すことすら許されない、天使のような見かけも相まって、まるで雲の上のようなおひと、上司、は、何度も頷き、酸欠なのか青色のひとみいっぱいに涙をためながら、執務机の引き出しを開ける。紅蝋のエムブレムで秘された封筒の中に、ふたつ、瓶が入っていた。金城はごくんと生唾を飲む。

「まさかほとんど接点がないあなたに急にこんなことを云われるなんて、驚きなんですけど。不敬罪になるとは思わなかったんですか?」
「私のできることには限りがありますが、雨宮さんには大抵の場合それがありませんので。それに、せっかく採用した女の警邏を『不敬罪』なんてもので逮捕したら、しかばね新聞さんが一面で書くんじゃないですか?」
「うふふ、そうですねえ、あなたは変なところで聡いですねえ」

 孤児のくせに。嫌味としかとれない単語を、彼は存外気軽な調子でくちにする。それには欠片もきにとめず、それが例の、と尋ねた。

「ええ、経口摂取するものですから、お茶でも淹れてさしあげてください。強力なので一本分でよいかと。遅効性ですので、是非ふたりで帰るように云ってあげてくださいね」
「わかりました。協力、感謝します」
 
 金城は最敬礼をして、瓶をふたつ、懐に入れる。ぶつかったらしい瓶が、かちゃり、小気味よい音を立てた。
 
 それから雨宮の執務室を出ようとして__そういえば、と立ち止まった。
 
「どうしてこんなものが雨宮さんの机に入っていたんですか?」
「以前お嬢さまとお人形さんに届けたんですけど、いらないって送り返されてしまって。三本用意したんですけどねえ、一本は使ったんですかねえ」
「……」
 
 聞かなきゃよかった。
 
 目とくちをきゅっと閉じて、金城は心做し早足で執務室を後にした。


「……それにしても、」

 あの子、警察の頂点に立つ人間に、しかも男に、よくこんなこと云えたものですねえ。僕のことを少しも異性と思っていないのか、それとも単に馬鹿なのか。

「媚薬が欲しい、だなんて、勘違いされても仕方ないでしょうに」
 
 面白いひと。

 愉悦を含んだ雨宮のことばは、金城には届かなかった。
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