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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第4章 びやくしょや(なおくんとあかりちゃん)
 別に嫁き遅れたくて嫁き遅れたわけではないけど、こうなることも運命だった。露崎明莉の自己評価は適切であった。はずだった。

 階級というのは適切である必要がある。無意味な玉の輿なんてあれば、それを夢見た庶民が分不相応な結婚を考え始めたり、逆に華族の子息が最下層の貧民を娶ったり、端的に云えば未だこの国に根付く階層社会が乱れる可能性があるのだ。本当は露崎は藤堂と幼馴染になんてなるべきですらなかったのかもしれないが、そこは割愛しておく。だって仕方ないじゃないですか、うちの母さんと直くんの母君がどういうわけか趣味の話で意気投合しちゃったんですもん。

 明莉が産まれた年の頃は、どちらかと云えば女児が多かった。

 それでも『どちらかと云えば』である。同年代の娘で、家格が合う家の子息や、妥協して上流階層の後妻、ぎりぎり逆玉の輿にならない程度の男と婚約したものは数え切れないほどいる。

 しかしながら、露崎家は『そこそこの華族』である。強いて当てはめるならば中の下。付け加えるなら明莉は三女で、しかも上に兄と姉が二人ずついる。それを無駄に達観してしまったせいで警邏として国に仕えている。おかげで逃げる悪漢を捕らえる手腕は勉強していても、花嫁修行は一切していない。このような女を娶ろうとするもの好きはいない。婿入りにしたって旨味は少ない。

 そうして日々を紺色の制服と過ごしているうちに、同年代で未婚の子息と云えば、『上の中』程度、次男にも警察官としてのエリイト街道を歩ませてやることのできる藤堂家の直、つまるところ幼馴染の長官以外いなくなってしまったのだった。

 不幸だとは思わない。
 女だてらに下級とはいえ軍人である下兄と同程度の給金を貰える現職である。長屋の一室を借りて、慎ましい生活をして、仕送りをしても、派手な贅沢をしなければ貯金ができた。一時期金の薔薇を追うためにそれなりに派手な贅沢をしたが、それはそれ、これはこれである。

 別に積極的に結婚しようと思わないし、なんなら一生独身でもよいと考えていた。藤堂家の次男と露崎家の三女であればそれなりに不自然な玉の輿であるし、何より幼い頃からずっと仲のよい友達であった藤堂とそういうことになる図が想像できない。
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