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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第1章 かがみぷれい
 彼と出かけるために大切なお人形たちの衣装づくりを中断して、大抵が男物で占められている外出用のクロゼットの中からわざわざ愛らしい少女服を選んだと云うのに。羞恥に耐えながら、姉に押し付けられたばかでかい鏡を見て、「似合うものか」と早い後悔に襲われて尚も、陽色にこの姿を見て驚かせようとしたと云うのに。「ご主人さま、すっごく、かわいい、おそとなんて出ちゃだめ、かわいい、ほかのひとにみせたくない、おれだけのご主人さまだもん」などと完全にひかりの消えた真赤なひとみで云いながら、あのかわいらしい子は、リオの胸を揉み、下着をはぎ取り、あろうことか鏡に手を付かせて行為を始めたのだ。

 一応抵抗は試みたが、はじめてからだを重ねた頃と比べたら幾分も敏感になってしまっているせいで、中への挿入をゆるしてしまった陰茎に攻めたてられてしまえば、もう彼をとめる手段なんてどこにもないのだ。今も、与えられる快楽から逃れたくて身をよじってみたが、後ろから抱きかかえられてしまっては逃げようがない。

 せめてもの反発で鏡から目を背けようとした。不意に、やわらかくて優しくて残酷な指先が、リオの頬に触れた。

「だめだよ、リオ。誰がリオのことを犯してるのか、ちゃんと見て。誰よりきれいでうつくしいあんたのことをめちゃめちゃに抱きつぶして、あんたがおかしくなるくらい気持ちよくしてるのは、他の誰でもない、おれなんだ。それをちゃんとあんたの目で確かめて」

 そう耳元で囁かれて、奥を突かれてしまえば。もう目の前の鏡にうつる淫靡な姿から、目を背けることはできない。

 自分を犯して、とろとろにとかして、狂ってしまうほどの快楽を与えてくれるのは。そして、それを己が許すのは。陽色。ただひとりしかいないのだ。
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