この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第6章 ありあ
 窓から射し込む光に、白いからだが浮かび上がっている。

 陽光を束にしたような、ふわふわした長い髪。朝日の眩しさに少しも負けぬ、夜明けの色のひとみ。

 目覚めてふいに衣装の案でも浮かんだのだろうか。ヴェルヴェットやサテンや作りかけのフリルにほつれたリボン、紅紫に黒に灰、優しい桃色に鮮やかな黄。碧瑠璃やら何やら、色とりどりの端切れと作りかけのドレスコートと、布の山の真ん中で、彼女は揚々と歌っている。高慢ちきな猫のようにつんと顎を反らし、あらわになった首筋も、肩も、胸も、不器用に折りたたまれた長い脚も気にしたふうもない。

 女にしてはかなり丈高いからだに抗うようにして、己の声と世界を夢中で追い掛ける様は、まるで小さな女の子のひとり遊びだ。

 私の歌を聴いて!

 やたらめったらめちゃくちゃにしたくなるようで、無性にいたたまれなくて、とびきりかわいらしい光景だ。陽色は我知らず微笑んでいた。それにしても、ご主人さま、やっぱりすごいよ。なんなのその高音。どこから出してるの。

 放っておくと、このひとは屹度いつまでも歌っている。夜も明けたばかりの、冷たい空気に肌をさらしたまま。いつまでも聞いていたいけれど、こちらを気にしてほしい気もする。気にして歌ってほしい。

「ご主人さま」

 陽色はおっとりと声をかけた。
 ぴたり、歌声が止まる。ご主人さま、こんなはよから歌ってたら、また亡霊に間違えられちゃうよ。夜明けの色がこちらを振り仰いだ。
/46ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ