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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第5章 5章 陰謀渦巻く舞踏会
「ありがとう。けど、貴女のほうが素敵な人よ。ところで、さっき嫌われ者同士って言ってたけど、どういうこと?」
「自分でこんなことを言うのは気が引けるけど、私はモテるから。あの子達が狙ってる殿方達に求婚されているのが気に食わないんでしょう。ソニアはラウル様の隣にいるから、気に入らないのよ。ラウル様は憧れの的だからね。ソニアを田舎者だなんて笑ってるけど、本当は焦ってるのよ。なんの前触れもなしにこんなに綺麗な子が出てきて、いきなりラウル様の隣に立ってるんだもの」
 リュゼの話を聞き、カミリアは納得した。そして女性除けの役割がどれほど大変なのか痛感する。ラウルはフェガリの時期国王最有力候補。その上顔もよく、誰にでも優しい。これ以上いい物件、そうはないだろう。女性達が放っておくわけがない。中にはカミリアを蹴落とそうと考えている者もいるはずだ。そう考えただけでゾッとする。

「気をつけて。きっと貴女を陥れようとする人が出てくるわ」
「ご忠告ありがとう、気をつけるわ」
 カミリアが素直に頷くと、リュゼは安堵したように胸を撫で下ろす。リュゼの優しさに癒やされるのと同時に、こんなに可愛くて優しい子が嫌われているのが、納得行かなかった。

「一昨日の舞踏会、とても素敵だったわ。ソニアのドレスは斬新で綺麗だったし、ラウル様と踊ってる姿も絵になっていたもの。ソニアの身長が羨ましい。私は小さいから、ラウル様くらい背の高い殿方と踊ったら、気を遣わせてしまうわ。それに、子供と踊ってるように見えてしまうもの」
 リュゼはうっとりした顔でふたりを褒めそやしたかと思えば、自分の頭を撫でながら拗ねたように言う。表情豊かで、見ていて飽きない。

「ありがとう。あのドレスは私も気に入ってるの。私としては、リュゼみたいな小柄な女性に憧れるわ。普通の女性より少し背が高いだけで、男女なんて言われることもあるんだもの」
「そんなことを言う人のセンスがないのよ。ソニアくらいの身長だから、ラウル様の隣にいても絵になるの。だから、そんな人達の言葉を気にしてはダメよ」
 リュゼはカミリアを励ますように言うが、一瞬だけ仄暗い顔をしたように見えた。
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