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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第6章 6章 光と影
「あの穴はね、落ちたら池に繋がってる栓が抜けるようになってるの。まぁ、小さい穴だからすぐに満タンになることはないでしょうけど。きっと怖いでしょうね」
「そんな……!」
「私はそろそろ戻らなきゃ。じゃあね、親友殺しさん」
 ショックで座り込むハーディを部屋に残し、ドアを閉めた。昔意地悪な教育係つけたアオリ止めの鍵を締めると、食堂に戻っていった。

 食堂に戻ると、リュゼは使用人にカミリアの食器を下げ、ラウルの隣に自分の食器を移動させた。
「ラウル様、ソニアは具合が悪いみたいなので、客室に寝かせてありますわ。ソニアの話を聞かせてもらっていいかしら?」
「ソニアが? それは心配だ。部屋に案内してくれるかい?」
 立ち上がろうとするラウルを、リュゼはやんわりと止めた。

「心配なのは分かりますが、ソニアは眠っています。起こしたら可哀想です」
「そう……そうだね……」
 ラウルは諦めて座り直す。リュゼは内心ほくそ笑んだ。
(ラウル様、すぐに虜にして差し上げますわ)
 妖精のような可憐な笑みを浮かべ、ラウルの服の裾をそっと掴んだ。



 その頃カミリアは、ナイフでドレスのスカート部分を引き裂いていた。ヤケになったわけではない、カミリアなりに脱出方法を見つけ出したのだ。ドレスを紐状にしていき、紐になった部分を片手に縛り付け、残りは濡れないように首に巻きつけていく。既にところどころ濡れてしまっているが、全部濡れるよりはマシだ。
 全部を結びつけてロープが出来上がる頃には、水は腰あたりまで来ていた。

 レッグホルスターからナイフを取ると、刃に布が当たらないように気をつけながら結びつけていく。
「あ……」
 ナイフの柄がサテンのロープから滑り落ち、水の中に入ってしまった。ダメ元で手を伸ばすも、届かない。
「何か重りになるもの……」
 周囲を見回したり、自分の身体を触ったりして重りになりそうなものを探す。ひとつだけ、重りになりそうなものを見つけたが、重りにしていいものかためらってしまう。
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