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甘い復讐
第14章 公開処刑4日目 夜
マルセルは、元軍人という紳士に斬り刻まれたあと、医者の夫妻に解剖されることになった。


マルセルは、サラと幼馴染で、同じ頃に生まれ、同じ村で育ってきた。
サラの両親の事、サラが苦労して生きてきた事もずっと見て知っていた。

マルセルは、身体が大きく筋骨も逞しい。
少しダークなブロンドで、サラ同様真っ白な素肌をしている。
瞳の色はグレー味がかったブルーで、形の整った鼻梁をもっている。
衣装を整えれば貴族と言われても納得してしまうような美しい容貌だ。


ハンスはマルセルの両手に手錠を掛けた後、両手首に鎖を巻き、梁から吊るした。

床に足が着くか着かないかのギリギリの高さに調整し、身動きが殆ど取れない事を確認した後、腹に刺さった銀の剣を抜いた。

「…んぐっ!」

腹の傷から血が溢れる。

ハンスは、グラスに入れた獣の血をマルセルの口を無理矢理抉じ開け流し込んだ。

すると、腹の傷はみるみる塞がり、青白かったマルセルの顔に赤みがさした。

これで、準備が整った。

マルセルは、獣の血を飲むことに少しの抵抗を見せたが、他はハンスと客達を睨むだけで、殆ど抵抗すること無く、全裸のまま鎖に吊るされた。



「では、これより初めていきたいと思います。宜しくお願いします。」

ハンスの合図で、緑色の仮面を着けた紳士が、マルセルの前に出てきた。



元軍人のこの紳士は、手にはサーベルを持っている。

緑色の仮面の紳士は、マルセルに一礼をし、サーベルを構えた。

マルセルは、目の前の紳士の仮面の奥の瞳を真っ直ぐ見つめていた。


これまで拘束されてから、散々辱しめを受けてきた。
何度も何度も快楽の波に押し流されはしたが、
それでも、吸血鬼としての尊厳を失いたく無かった。
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