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甘い復讐
第12章 公開処刑3日目 夜
男は、意識を失いかけていた他3人の鼻先にも、同様に小瓶を近付け、強制的に意識を取り戻させた。


皆一様に、再び強烈な痛みと苦しみに苛まれ、身体をピクッ!ピクッ!と微かに震わせながら、呻き声を上げ始めた。





アルバート達が出ていって2時間程経過しただろうか。

その間、サラ達4人は、意識を失うと、何度も気付け薬を嗅がされ、その度に地獄へ引き戻された。



腹の傷は、見た目にはあまり変わらず、ぐちゃぐちゃの肉片が腹の中に詰め込まれただけにしか見えなかったが、出血は殆ど無くなり、呼吸が楽になっていた。

すると今度は苦しみと痛みが、より鮮明に途切れること無く続くことになった。

気付け薬によって、意識を強制的に呼び戻されるものの、それまでのほんの短い時間、意識が遠退いていっている僅かな時だけは、痛みと苦しみから少しだけ解放されることの出来る時間だった。

呼吸困難による酸素不足が解消された今、意識が遠退くこともなく、常に痛みと苦しみが身体を蝕んでくる。



「あっ!あ゛っ!あ゛あ゛あ゛!んっ!ああっ!!」



腹の中が熱い…
痛い…苦しい…


逃れたくても逃れられない。

ビクッ!ビクッ!ビクッ!

と身体が、何度も激しく痙攣する。


死ねたら楽になるのに…
死にたい…


サラは、アルバートに捕まってから、何度も何度も思ったが、この時程、自分の死ねない身体を呪わしく思ったことは無かった。

ましてや、アルバートが復讐の鬼と化したのは、自分の父親のせいだ。

それに巻き込まれた、ロイス、マルセル、トーマスには、どうやって償えば良いのだろうか。
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