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また桜は散り過ぎて
第15章 散ってもまた、桜は咲く
 代金をテーブルに置き立ち上がると、ちょっと待って、と小西さんがカウンターに戻り、
袋のようなものを持って戻ってきた。
きれいな桜色の、和紙のようなものでできた封筒だ。
その封筒の中に私が置いたお金を入れ、私の胸の前に差し出した。
不思議そうにのぞき込んでから小西さんを見ると、
「今日のお代はいりません。もしそれでは困ると言うのなら、
 次にここに来られた時にいただくことにします」
なんて粋なことする人だ、と無理やりの笑顔は本当の笑顔に変わった。
「あ~、ほんと、小西さんって良い人ですね。呆れるくらいです」
その言葉に小西さんも笑い出した。
「では遠慮なく、今日のところはご馳走になります。
 次回来た時にちゃんとお支払いしますからね」
どんな形、どんな状況でも、再びこの店を訪れることを、誓った。


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