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Memory of Night 2
第13章 投影

「やばい! 卵があと三つしかない!」
「こっちもオレンジジュース終わりそう! 定番のカシオレ作れなくなっちゃいます!」

 七時をまわる頃には、キッチンから新たな悲鳴が上がった。
 例を見ない客入りのせいで足りなくなりそうな材料がちらほら出てきているらしい。

「誰か、手が空いてる人買い出しに……」
「そんな人いないですよぅ! どうしよう、マスター!」

 スタッフからのヘルプに、フロアに続くドアからひょっこりと顔を覗かせる亮。
 その隣から声がした。

「あたし、行くよ買い出し」

 同時にキッチン内に入ってきたのは、見覚えのない女性だった。スタッフ、だと思うが、バーの制服は着ていない。
 サンダルにジーンズ、黒いティーシャツに薄手の茶色いパーカーというラフな格好に、深いキャップ帽をかぶっていた。

「え、でも……」

 その女性はキッチン内を素早くチェックし、何やらメモをしてまわる。
 それからふいに顔を上げ、聞いた。

「店の横のシルバーのチャリ、誰の?」
「……俺のですけど」

 宵が答える。厳密に言えば借りたものだが。

「貸して。この時間なら車より速そう」
「はい、いーですよ。鍵取ってきます」
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