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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

 特に晃と付き合い始めてからは、すぐ嫉妬して仕置きのネタにされるからなおさらだ。
 自分は平気で女子を侍(はべ)らせているくせに。
 今だって、明に熱心に魚突きを……。
 海からぷはあっと頭を出した明の方に視線を向け、ぴんときた。

「ーーもしかして、明?」
「しー、しーっ、ばか、本人に聞こえたらどうするんだっ」

 慌てふためく大山。
「平気だろ」

 浮き輪に掴まりゼェゼェと呼吸を整えるている明の様子を見て思う。息継ぎに必死でこっちの話など一ミリも届いてない。

「ねえ! どっちか代わるー?」

 不意に明が右手に持った竹ヤスを掲げ、声をかけてきた。
 宵はちらりと大山の様子を盗み見て、首を振る。

「まだ魚一匹も獲れてねーじゃん。晩飯のオカズにするんだろ? へばってんじゃねーよ、獲れるまで陸に戻ってくんな」
「……鬼ーっ」
「明ちゃん、ちょっと休む?」
「ううん、平気!」

 晃も隣から声をかけるが、明は首を横に振った。そのまま大きく息を吸い込み、また潜っていくのだった。

「……新手の水責めか何かか?」
「アホ、まだ話途中じゃん。本人が居たらしづらいと思って」

 すぐ近くだし浮き輪もあるし、晃だってついてるし明は放っておいても大丈夫だろう、と宵は思っていた。
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