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Memory of Night 2
第19章 夏の思い出

「まあ、それならいいけど。中のデータ全部無くなっちゃうんじゃないの? 連絡先とか」
「そんなにいねーし、必要ならまた入れるよ」

 もともとスマホを持ち始めたのも高校三年に上がる直前くらいだ。晃と志穂に勧められて持ったが、無くても別に不便さは感じなかった。あっても充電を忘れたり、鞄や上着のポケットに入れたまま放置してしまうことが多く、携帯電話の意味が無いねとよく晃に笑われていた。
 宵にとってのスマホの必要性はその程度なので、数日壊れて使えなくてもたいして弊害にはならないし、中のデータが無くなったとしてもさほど困らなかった。

「でもさ……」

 明は申し訳なさそうな顔で食い下がる。

「ソクバッキーでギャンブル好きな彼女さんは大丈夫なの? そんな、何日も連絡取れなくて」
「…………」

 きっぱり否定しなかったら、いつの間にかさっきの電話の相手は彼女ということで認識されてしまったらしい。
 宵は近くの花壇に腰を下ろした。どう答えようか一瞬悩んだが、結局そっちはスルーして話題を変えることに決めた。
 隣に立つ明を見上げ、気になっていたことを聞く。

「で、大山の気持ちがわかって、どうすんの?」
「どうって……」
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