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Memory of Night 2
第19章 夏の思い出

 言われてみれば確かに。大山の態度と前日宵に探りを入れられたことで明は気持ちを察したのだろうが、きちんと好きだと伝えられたわけではないのだ。

(何やってんだよ、大山)

 肝心な一押しが足りていない。
 昨日あのまま告ってしまえば良かったのに、と宵は思う。感情のまま抱きしめた時にでも。そうすれば、明なりに考え、誠意を込めて返事をすることができただろう。
 宵は腕を組み考えた。なかなか奥手な大山は、きっかけがないと告白もできないかもしれない。
 ふいに宵が目線の位置をあげると、二階の窓に人陰が見えた。大山だった。
 晃が告げたのかたまたまか、明と宵が二人で外にいるのを見かけ、気になっているのかもしれない。
 宵はそれを逆手に取ることを思いつき、明の腕を掴んで軽く引き寄せた。耳元に唇を寄せ、小声である提案をしてみる。

「……ーー」
「は!?」

 瞬間、明は顔から火でも噴き出しそうな勢いで真っ赤になった。

「バッカじゃないの!? で、できるわけないでじゃんそんなの! マジでサイテー!」
「……冗談だって、怒るなよ」

 宵は笑った。

「今のは冗談だけど、とりあえず行ってこいよ、部屋。大山に会ってこい、すぐ」
「も、もう遅いし」
「まだ八時過ぎじゃん、全然遅くねーって。大山も一日中寝てたから大丈夫だよ、早く行けって」
「……明日でいいよ」
「ダメ、今」
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