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Memory of Night 2
第19章 夏の思い出

 大山が覗いているのがわかったから、あえて明を引き寄せ内緒話をした。
 二階からなら密着しているように見えるだろうし、大山の嫉妬心に少しでも火がつけば、告白もできるのではないかと思ったからだ。

「最後、明ちゃんになんて言ったの? そこだけ聞こえなかった」
「……他は全部聞いてたのかよ、この地獄耳。怖えーよ」

 聞かれてやましい会話では無かったが、プライバシーの侵害も甚だしい。

「『大山今部屋にいるから、夜這いかけに行ってこいよ』って言っただけ」
「ああ、それで真っ赤になって慌ててたのか」

 晃は声をあげて笑った。
 もちろん夜這いは冗談だが、嫉妬しているであろう今なら、部屋にさえ行けば大山はなんらかのアクションを明に起こすはずだ。

「二人きりにして大丈夫? 明ちゃん、襲われない?」
「平気だろ。…………多分」

 奥手な大山に限って、それはないだろうと思えた。多分。
 宵は二階の自分たちの部屋の窓を見上げた。大山の姿はもうない。

「なあ、コンビニ行こ」

 まだ部屋に戻るのは早いが、ずっと裏庭に居ても暇なので、宵は晃をコンビニに誘った。

「そうだね、夜食でも買いに行こうか」
「うん」

 そうして海風が吹く夜道を歩き出した。
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