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Memory of Night 2
第22章 交渉

「で、ポスターの件は」
「オッケー。晃も泊まり来るってさ。でも受験だから十二月中が条件」
「あ、そうだよね、了解了解。そこはこっちで調整する」
「てか。話まだ途中だっけ。……んー、詳しいことは宵に聞いて」
「……は?」
「じゃ、また。この服洗ってあとで返すから、おやすみ」

 そのまま車へと向かっていく。
 だがナチュラルな動作で乗り込んだのは助手席だった。

「じゃあ、僕もこれで」
「……はーい。てかマスターどうやってここまで来たんですか?」
「タクシー。高校生の君のとこに来るのに酒持ってったから、飲むのかなと思って。ハルちゃんの車は僕が運転して帰るよ、安心して」

 亮は深々と頭を下げた。

「遅い時間にお騒がせしました。おやすみ」

 そうして車へと早足で向かっていく。
 いつの間にか雨はあがっていた。
 赤いスポーツカーがアパートの敷地を出ていくのを見送り、二人も部屋に戻った。

「嵐が去ったみたいだね」
「マジで、何しに来たんだあいつ」

 風呂に入って映画を観ながら酒を飲み、肝心なことは中途半端で帰っていってしまった。

(結局乗せられちゃったけど)

 痛いところを突かれ、目の前に餌をぶら下げられ、雪山での泊まりを許可してしまった。
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