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Memory of Night 2
第23章 墓参り
「そういえば、志穂さんとは一緒に来ないの?」
「あー。子供の頃はよく車で連れてきてもらってたんだけど。ーー嫌なんだって、俺と来るの」
「どうして? 掃除までしてくれてるのに?」
どう答えようか、一瞬だけ迷う。
「直接言われたわけじゃないけど、墓参りのあと、何日か俺の顔見ないんだよね。見れないんだと思う。……志穂さん、親父といろいろあっただろ? 情が残ってるわけじゃないと思うけど、俺にも、母さんにも、申し訳ないって思ってんじゃねーかな」
「そっか。不倫……してたんだもんね」
宵は小さく頷く。
「どんな経緯か知らねーけど、たった一回きりなのにな。ずっと罪悪感抱えて生きてくつもりなんかな。親父も母さんも死んじまったし、もういいと思うんだけど」
志穂がまだ入院する前、墓前の前で震えていた姿を思い出す。
決して口にはしなかったが、志穂の態度がそのあとしばらく変になることに気付いてはいた。
「……一人で行けるから、来なくていいって言ったんだよ。つか、もともと関係ねーんだから、掃除も墓参りもしなくていいんだよ。毎年言ってんのに、人の話聞きゃしねー」
「……律儀なんだね。宵の律儀さは、もしかしたら志穂さん似かもね」