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Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

 とっさの嘘だった。バイトは確か無かったが、ほとんど面識がない彼女らと一緒に祭に行きたくはないし、もう相手が女子という時点で晃が黙っていない。

(そういえば、晃は予備校かな)

 確か八月末は平日だった。休みなら、誘ってみようと思っていた。

「ねえ、バイトって何時から何時? 丸一日じゃないんでしょ?」
「昼間だけとか、夜の花火だけでもどうかな?」

 女子達は食い下がってくる。

「あー……」
「高校最後の夏休みだよ……」
「うちらと遊ぼーっ」
(って言われても……)

 鬼気迫る勢いで誘われると、さすがに誰、とも聞きづらい。

「ーー彼女さんとは行かないのー?」

 ふいに後ろから別の女子の声。
 振り向くと、にやにやと笑っていたのは明だった。

「ソクバッキーでギャンブル好きな歳上の彼女いるんでしょ? 妬かれちゃうよ」
「ええっ!?」
「宵くん、彼女いたの?」
「あ、そーなんだっ。しつこくしてごめんねっ」

 気まずくなったのか、女子達は座っていた机からかばんを持ち、そそくさと帰っていく。
 宵はほっとため息をついた。

「……勝手にバラしちゃったけど」
「助かった。さんきゅー」
「ならいいけど。ところで…………ほんとに彼女?」

 違う。おもいきり違うが。けれどもう面倒くさいので、それを理由に女子からの誘いや告白は断ろうと決意した。

「うん、カノジョカノジョ。超カノジョ」
「絶対嘘、超棒読み!」
「つか先生行っちゃったじゃん」
「職員室だと思うよ」

 いつの間にか、クラスには明しかいない。
 黒板を消したり黒板消しを綺麗にしたりしていた。

「あ、倉木先生のとこ行くならこれも持ってって」

 余った過去問たちをまとめて渡される。

「はいよ」

 ついでなら、と受け取り、宵は職員室に向かった。
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