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Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

(やっぱ酒か)

 なんとなくそんな気がしたが、宵は心の中だけにとどめる。何日も入院していてやっと出られたのに、禁酒までさせられるなんて、不憫だなあと思ったからだ。
 それから真面目な様子に戻り何か手元の資料を見始めた。

「過去の成績とか見ても、これと言って抜きん出てる科目ないんだよね。壊滅的に悪いのもないけど。……強いて言うなら、文系がちょっといいかな、国語とか地理とか歴史も、まあいいか。暗記がわりと得意なのかな」

 改めて言われても、自分じゃよくわからなかった。
 何はともあれ微妙らしい。確かに、通知表は体育以外だいたい3だった。中間や期末も平均点くらいだ。

「国英社で受験できるとこで、学費の安い国公立、がいいかもね。ーーま、いくつか探してみようか」
「うん」

 大学に進学すると言っても、漠然としすぎていて具体的なことは何も決まっていなかった。
 どの科目を重点的に勉強していったらいいのかもわからない。それだとやる気の出しようもない。
 目指す大学が決まれば自ずとそれも決まるというものだ。

「よろしくお願いします」

 珍しく敬語で、丁寧に頭を下げてくる生徒に、倉木はこけた頬のまま、にっこりと微笑んだ。
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