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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「俺、めちゃめちゃ愛されてるんだね、君に」
「……なんか、ものすごくうんと言いたくねーんだけど」
「言ってよたくさん」

 晃は笑った。
 好きな人の言葉一つで一喜一憂している自分がおかしい。
 これが恋愛なんだなと、新しい方程式を教えられたような気分になった。

「やだ」

 宵はふいっとそっぽを向いてしまったが、耳たぶまで真っ赤だ。それで充分だった。
 そこからは、特に会話もせず二人で花火を堪能した。花開く音も、火薬の匂いも、夜空に広がる光景も、言葉にならないくらい綺麗だ。
 やがて一段と華やかに連続して打ち上がり、花火は終焉を迎えた。
 音と光が消え、辺りは静寂に包まれる。

「ーー夏も終わりだな」

 宵が言った。
 立ち上がると、すぐそばの川にはちらちらホタルが浮かんでいた。

「そうだね。今年はたくさん思い出もできたね」
「うん」
「ーー帰ろっか」

 二人はベンチから腰をあげた。姫橋祭一番の催しが終わり、帰り始めた人々がちらちらと視界に入ってくる。
 夏が終われば、すぐに秋がやってくる。
 何度季節が移り変わっても、こうして二人で過ごしていけたらいい。
 晃は隣を歩く恋人を見つめ、そう強く思った。
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