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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

 楽しげに笑って春加が野次をとばしてくる。

「ハル姉の話が本当なら、俺はこのまま実家に帰る」
「……本当なわけねーだろ、あいつの話なんて! もう好きな方信じろよ」

 すぐ晃が帰ってくるのをわかっていて、女性に手を出すなんて馬鹿な真似はしない。
 あんな適当な捏造話に耳を貸すな、と思う。

「まあ、ハル姉の話は信憑性がないかな」
「……はは、やっぱ? そっちの言うことが本当だよ」

 春加は高らかに笑った。
 それから右手を宵に向かって開いてきた。

「その承諾書はあたしたちのだからね、返して」

 促され、宵は紙の束を春加へと渡すほかなかった。盗み出そうとしたのは、全面的に宵が悪い。

「ハル姉に言うことは?」

 晃に促され、宵はしぶしぶ頭を下げた。

「……すみませんでした」
「別にいいよ、ちゃんと最後まで、撮影引き受けてくれるなら。ーーほら、控え」

 ファイルの中から、同じくらいの厚さの紙の束を渡される。
 承諾書と書かれた隣にカッコで控えと入っていた。

「そっちは保管しといて」
(クソババア)

 宵は心の内だけで悪態をつく。
 どうにも春加の手のひらで転がされているような気がして面白くないのであった。
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