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Memory of Night 2
第27章 コンセプト
宵も晃もとりあえず黙っていた。晃は先ほどの承諾書の控えを手元に置き、そちらも読みつつ話も聞いていた。
春加は珍しく、しばらくの間本当に質問がないか待っている。
「よし、なら次」
やがて足を組み替え、話を進めた。
「今回のポスターのコンセプトだけど、『雪の化け物』に決まった」
端的な発表だった。
「雪の……化け物?」
わずかな間のあと、宵が微妙な顔で首を傾げる。
「撮影場所が東北の雪が降る地域で、しかも山だしな。ぴったりだろ?」
春加の言葉に、確かに、と思わなくはないが。
「雪の化け物って、全身毛むくじゃらのでっかいやつ? 雪男だっけ?」
「いや、そういうんじゃない」
春加は今度はきっぱりと否定し、亮に目配せした。
その合図を受け、マスター自ら説明を付け加える。
「そこの地域に昔から語り継がれてる伝説があるらしくてね。白い着物姿で、雪山に迷い込んだ男を誘惑して巣に連れ込んでしまう妖怪がいるんだって。いろいろなところで聞く話だよね。せっかくだから、それをそのままポスターのコンセプトに使うことにしたみたい」
亮は楽しそうに笑った。
「それ、雪女じゃないんですか?」