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Memory of Night 2
第32章 雪

「すぐ戻る。煙草は、一本だけ置いてく」

 箱の中身を移し換え、一本だけ残した方をテーブルに置いた。
 上着とコートを羽織り、部屋を出ていこうとする背に春加は呟いた。

「あたしも入れようかな、刺青」
「……やめときな。痛いし、温泉もプールも入れなくなるよ」
「別に、それでもいい」

 プールも温泉も、ハナから行かない。痛みは、嫌いではなかった。生きている実感をくれる。
 昔は足がすくむほど怖かったのに、今では亮の体に彫られた紋様を美しいとさえ感じていた。自分でも、不思議なほどだ。

「あんたとお揃にしようかな」

 亮の動きが止まる。春加のそばまで歩み寄り、その頬に手のひらで触れた。

「……最近本当に顔色が悪いな。栄養のあるもの買ってきてやるから、少し寝ときな」
「いらない。買ってきてくれんなら酒がいい」
「だめ」
「……なら帰る」

 家なら、ビールもウイスキーも大量にある。早くアルコールに溺れてしまいたかった。
 ふいに口付けられた。そのまま押し倒され、手近にあった春加のスウェットパンツで両手首を縛られ、ベッドボードの柱の部分にくくりつけられた。

「……はぁ?」

 さすがに驚いて、春加は目を見開く。

「君に逃げられると困るからね。三十分くらいで帰ってくるから、おとなしく待ってろ」

 若干、亮の口調は変わっている。苛立っているようだった。
 そのまま部屋を出ていってしまった。
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