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Memory of Night 2
第32章 雪

 そこは可愛いと思ったので、素直に頷いた。

「まあ、雪だるま作って親を待ってたのはすごく小さかった頃だけどね。中学に上がってからは、逆に……」

 そこではっとしたように、晃は口をつぐむ。

「逆に?」
「いや……、急に帰ってこない方がいいというか」
「女連れ込んでるのバレるもんな」
「…………」

 晃は無言で視線を逸らした。図星らしい。宵は憮然とする。

「あーあ、可愛いエピソード台無し」
「……中高の途中のちょっとした期間だけだよ、家によく女性を呼んでたのは。勉強教えてほしいって言われることも多かったし」
「それだけ? 勉強のあとは?」
「……おやつ食べたりとか」
「それから?」
「…………そりゃ、まあ」

 最初の予想通り、ヤッていたんだろう。
 宵はスルーして続ける。

「人数は?」
「……ちょっと、覚えてないかな」

 覚えてないほど多いのか、多すぎて言いたくないのか、おそらくその両方だろう。

「今は宵だけだよ。誓って」
「わかってるよ」

 宵は笑った。本気で問いつめたいわけではなかったが、たじろく晃が面白くてつい聞いてしまっただけだった。そもそも付き合う前のことだ、今さら責めてもどうしようもないこと。
 それに、家に呼んだことはないが、自分も関係を持った女性たちはかなりいる。そこを踏まえても、晃の行いを責めることはできなかった。
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