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Memory of Night 2
第32章 雪

「あ、お疲れー」
「……あんたいつもここで煙草吸ってんな」

 翌日。宵が九時半に上がると、スタッフルームには春加の姿があった。煙草を咥えつつ、今日は珍しくノートパソコンを開いている。

「今日はちゃんと仕事もしてるよ。今十二月のシフト作ったとこ。……おまえイブもクリスマスも休み取らなくていーの?」
「うん、なんで?」
「なんでって……恋人同士で過ごす一番でかいイベントだろ、クリスマスなんて。まあ、晃が受験じゃそれどころじゃないか」
「そうだな、ケーキとチキン食うくらいじゃね?」
「ならバイト出て。クリスマスイベントやるから」
「……マジでイベントばっかだな。めんどくさ」

 ついこの前ハロウィンイベントをしたばかりだった。店に着いて突然、用意されていたドラキュラの衣装に着替えさせられ、メイクの代わりに仮面までつけさせられた。動きづらいことこの上ない。
 ハプニングバーということもあり、客もみんな際どい仮装をして来るし、女性スタッフも露出の多い衣装を着せられていた。マスターに晃くんも呼ぼうと提案されたが、受験前だしそんな女性を晃の視界に入れたくはなかったので、どうにかこうにか引き留めたのだった。
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