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Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱
指摘され、どきりとした。彼に桃華の面影を重ね、無意識に避けていたこと、バレていたのかと思う。
宵はスマホとペットボトルを再び定位置に戻し、光で辺りを照らしながら続ける。
「あんたと母さんの関係も気になってた。……でもそれより、なんであんたに興味が湧くのかの方が疑問だったんだよね」
「……興味? おまえが?」
「そ。あんたに対してのこの感覚がなんなのか、自分でもさっぱりわからなかった。ーーでもやっとわかった」
宵はどこに隠し持っていたのか、豹柄のショルダーバッグを取り出した。長い紐を指に引っかけ、弄ぶようにゆらゆらと揺らす。
それはアメリアのではなく、春加のものだった。
春加は反射的にそれを取り返そうと、体を動かした。脇腹の強い痛みがそれを阻む。
呻き声を洩らし、右手できつく痛む場所を抑えた。激痛のせいか吐き気まで込み上げてくる。
それでも、取り返さなければと本能が警鐘を鳴らす。知られたくない秘密があった。
「……別にあんたのこと探ろうとしたわけじゃないからな。壁を掘るのに使える道具、なんか入ってねーかなって思って。そうしたらたまたま免許証が見えて」
免許証。その単語に、春加は動きを止めた。